個人再生とは

個人再生とは、債務者自らが裁判所に申立てをして、債務の返済額や返済条件について債務者に有利な内容に変更した再生計画を裁判所に認可してもらい、その再生計画に従って減額された借金(原則5分の1)を原則3年で分割返済するものです。

任意整理ではあまり借金が減らず返済が困難な場合や、自己破産したくない、あるいは自己破産しても免責を得られる見込みがない場合などに選択を検討するべき手段です。      

また、住宅ローンを抱えている方が、住宅ローンは今まで通りの返済を続け自宅を維持しながら、それ以外の借金を分割返済していく住宅資金貸付債権に関する特則(以下、住宅資金特別条項という)というものがあります。全国の個人再生申立件数のうち約4〜5割が住宅資金特別条項付きの個人再生であり、自宅を守りたいという希望がこの手続きを選択する大きな理由の1つとなっているものといえます。

 

どのくらい債務が減額されるのか

再生計画案が認可された場合に減額される金額は、次のとおりです。

借金額(借金全てをあわせた総額) 最低弁済額
100万円未満 →借金全額
100万円以上500万円未満 →100万円
500万円以上1500万円未満 →借金額の5分の1
1500万円以上3000万円未満 →300万円
3000万円以上5000万円以下 →借金額の10分の1

例えば、全部で300万円の借金のある方であれば返済額は100万円となり、全部で600万円の借金のある方であれば、返済額は120万円となります。
※ただし、所有する財産の合計額がこれを超えている場合は、返済額がその合計額まで増えます。例えば、所有する自動車の価値が200万円になるのであれば、上記いずれの例の場合も返済額は200万円となります。

このように減額された金額を、再生計画案認可後、通常3年間(特別の事情があるときには5年間)で分割して支払っていくことになります。返済額が100万円となった場合の毎月の返済額は、約28,000円程度になります。

司法書士は債権者に連絡をして取り立てをストップし、民事再生申立書と再生計画案を作成して裁判所に提出します。そして、再生計画案が認可されるまでの全ての手続きのお手伝いをします。

個人再生のメリット
 1. 借金の大幅カットが可能です。借金の額が100万円までの場合には全額支払わなければなりませんが、100万円から500万円までの場合は100万円、500万円以上の場合は総額の5分の1まで原則として減額できます。従って借金の総額が大きくなるほど個人再生のメリットが享受できるといえます。
 2.

すべての債権者の同意がなくても手続きが可能です。小規模個人再生では再生計画案についての過半数の債権者の消極的同意(積極的な不同意のないこと)が必要ですが、基本的にすべての債権者の同意を得ることが必要な任意整理や特定調停と比較するとメリットが大きいといえます。債権者数が多くここの債権者の同意を得ることが困難な場合に個人再生が有効な手段となり得ます。

なお、給与所得者再生の場合には、債権者の同意はいっさい必要としません。

 3. 住宅資金特別条項により、住宅ローンを今まで通り返済し続けることで住宅を失わずに残りの債務を整理することが可能です。
 4.

自己破産の場合のような、居住の制限や一定の職業制限はありません。


個人再生のデメリット
 1.

個人再生は一定の要件を満たした場合のみ利用できる制度です。

小規模個人再生の場合の要件

 ① 個人であること 
将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること

個人再生は、債務者が得る収入の中から分割払いをしていくことを想定した手続きですので一定の収入を得る見込みがなければできません。とはいえここで要求されている収入は安定的なものである必要はないので、パートやアルバイトの収入であっても認められます。

住宅ローンを除く借金の総額が5000万円を超えないこと

④ 支払不能のおそれがあること

 

給与所得者再生の場合の要件

上記1〜4に加えて

給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつその額の変動の幅が小さいと見込まれること

以上の要件を満たしていない場合には、個人再生を選択することはできません。  

 2. 信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録されますので、5年〜10年程度は新たな借り入れ、クレジットカードの作成が困難になります。
 3. 個人再生手続きをしたことは官報に掲載されるため、これを見た人には民事再生したことが知られてしまいます。一般的に官報をチェックする人はあまりいないと思いますが、今ではインターネットでも官報を簡単に検索・閲覧できるので、官報から人に知られる可能性は少なからずあります。
 4.

任意整理、自己破産、特定調停と比べると手続きが複雑で時間がかかります。個人再生は、まず裁判所に申立てを行い、その後再生手続き開始決定、債権届出期間、再生計画案作成、債権者による書面決議、再生計画案の認可決定を経て最終的に確定するもので、この間約1年近くかかる場合があります。この手続きの複雑さが個人再生固有のデメリットであるといえます。

個人再生手続きには、「小規模個人再生」「給与所得者再生」の2種類がありますが、このサイトで「個人再生」という場合、小規模個人再生手続きを指しています。

「給与所得者再生」は、実際にはあまり使われません

給与所得者再生が小規模個人再生と異なるの点は、下記のとおりです。

  • 給与所得者(又はこれに近い定期収入がある)で、収入の変動が少ない場合しかできない
  • 再生計画案に対する債権者の同意が不要である
  • 弁済総額が小規模個人再生よりも多くなる場合がある(収入が多い場合)
  • 10年以内の再申し立てや、自己破産の免責決定確定日から10年以内の申し立てが禁止される

以上のような相違点があります。再生計画案に対する債権者の同意が不要であるから、債権者が再生に反対されそうな場合には、小規模個人再生よりも給与所得者再生を選択すべきなのですが、実は再生計画案に反対をする債権者はほとんどいません。

しかも弁済総額が小規模個人再生よりも多くなる場合が多いため、あまり給与所得者再生は使われておらず、給与所得者であっても個人事業者であっても、小規模個人再生手続きを選択しているのが実情です。

例外的に、親戚や知人からの借り入れがあって、現在その親戚や知人と不仲になっていて、かつその借入額が大きく、総借入額の半分以上をしめているような場合には、給与所得者再生を選択することがあります。

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